ファッション用語集 綿の種類

ファッション用語集-Tシャツの綿の種類-

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綿

綿とは

綿とは英語で「cotton(コットン)」と呼ばれる。
植物にアオイ科ワタ属から採られた木綿のこと。
ワタの木の種を守る白い種子毛(白いふわふわした部分)が綿となる。
また、この種子毛が白い花のように見えるため「綿花(めんか)」と呼ばれ、コットンボールともいわれる。
 
綿花

特徴

一般的に綿は非常に身近な素材であり、さまざまな特徴がある。

  • 優れた吸水性・吸湿性
  • 肌ざわりが良い
  • 染色性に優れ、発色が良い
  • 水に強い
  • 縮みやすい
  • 毛羽立ちやすい

綿の生産地や繊維の長さ、糸の紡績方法により、それぞれの特徴は大きく異なってくる。
 

繊維の長さによる綿の分類

短繊維

短繊維綿とは、その名の通り繊維の短い綿のこと。
一般的には、10~20mm前後の繊維長が短繊維綿とされる。
しなやかさに欠ける反面、繊維自体が太く丈夫であり安価である。
繊維が短いため紡績に不向き、基本的にはクッションなどの中綿として利用されることが多い。
 

中繊維綿

中繊維綿とは、短繊維綿と長繊維綿の中間に位置する綿のこと。
一般的に、21~28mm前後が中繊維綿として扱われる。
市場に流通する綿製品の多くはこの中繊維綿が使用されている。
 

長繊維綿

長繊維綿とは、繊維が長い高級な綿のこと。
繊維の長さは28mm以上がほとんどとなり、希少性とともに価値が高い。
この長繊維綿を使用した生地は肌ざわりがなめらかで上品な光沢がある。
 

超長綿

超長綿とは、長繊維綿の中でも長さが35mm以上の非常に長い綿のこと。
全世界の年間綿花生産量が約2,600万トン、超長綿はその内の約39万トンで1.5%程度しかない希少価値の高い綿。
長繊維綿以上のしなやかさがあり、なめらかで柔らかい肌ざわり、シルクのような光沢感をもつ。
 

世界三大コットン

さまざまな綿の品種の中でも、特に希少価値が高い3つの綿のことを「世界三大コットン」と呼ぶ。

スーピマコットン

スーピマは「Superiol Pima/スペリオールピマ」の略。
アメリカ産のピマコットン100%の中でも、厳正な基準を満たした最上質の超長繊維綿だけに与えられる、米国スーピマ協会の商標。
高気温で乾いた土地である米国の西南部で栽培されるピマコットンの中から厳選され、産地を限定することで品質の高さを保っている。
繊維長が長く、撚りが均一で綿密な上質な糸になるため、毛羽立ちにくく風合いが変わりにくい。
スーピマコットンの生地は、なめらかでしなやか、光沢があり丈夫さもある。

 

ギザコットン

ギザは、エジプトで栽培される綿の一種で繊維の一本一本がとても長い希少な超長綿。
ナイル川流域にあるギザ地方に由来してGIZAコットンと名付けられ、「白いゴールド」の異名を持つ。
植物性の油脂が適度に含まれているため、光沢感がありドレープ感を生み出す。
ギザコットンの生地は、軽くてしなやかな風合いがあり、なめらかな肌ざわりが象徴となる。

 

新疆綿

新疆綿は、中国の新疆ウイグル地方で綿作りにふさわしい大陸気候を利用して栽培された高級綿。
晴天が多く雨が少ない砂漠地方独特の気候で、天山山脈から引かれた豊富な雪解け水を利用してつくられ、美しい白い綿花が育つ。
繊維が長く、天然の油脂分が多いためシルクのようなつややかな光沢をもつのが特徴。
繊維が長いため「繊維をつなぐ」という工程が少なく、ざらつき感が少ない糸ができあがる。
新疆綿の生地は、しなやかなさがあり丈夫でさらさらした質感がある。

 

最上質のブランド綿

生産量が圧倒的に少なく希少価値が極めて高い、原料のブランドとして確立した地位のある最上質な綿。

スビンコットン

スビンコットンは、シーアイランドコットン(海島綿)とインド原産のスジャータ綿を掛け合わせた、インドの最高級の超長綿。
山から降りてくる清涼な風があり、夏は暑くて水が豊富にある、南インドの一部地域の高原でしか育てることができない。
全世界の超長綿の生産量約39万トンのうち、スビンコットンはわずか200トンで約0.05%しかない希少繊維。
スビンコットンの生地は、光沢感がありシルクのようなしなやかなタッチがある、やみつきになるような肌ざわり。

スビンプラチナム

スビンコットンの中には、さらにその最高峰に位置する「スビンプラチナム」が存在する。
綿花を気づ付けないように一つ一つを丁寧に摘み取った、ファーストピック(初摘み)のみを糸にしたもの。
良いとこどりしたものしか名乗ることが許されず、ただでさえ希少なスビンコットンの中でも特に最高品質を誇る。
スビンプラチナムの生地は、とろけるようにやわらかい風合いがある。

 

シーアイランドコットン

シーアイランドコットンは、カリブ海・西インド諸島の限られた島からしか産出されないコットンで、海島綿とも呼ばれる。
世界で最上級とされ、「幻のコットン」「奇跡の綿花」の異名のもと輝き続けている。
綿木が発芽・成長する時期には雨に恵まれ、開花時には乾燥が訪れる、コットンを傷つけない絶妙な気象サイクルのもと生育される。
土地は地盤が珊瑚礁もしくは石灰質のため水はけがよく、アルカリ性。
さらに昼夜の温度差が少ないため、均一な節の少ない繊維の綿が育つ。
カシミヤのようななめらかさでやわらかな肌触りと、まるでシルクのようなつややかで上品な光沢がある。
 
世界三大コットンを含め、現存しているすべての超長綿はシーアーランドコットンの血筋を引いているといわれている。

 

オーガニックコットン

オーガニックコットンとは

オーガニックコットンは、オーガニック農法に従い、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のこと。
有機栽培綿ともいい、3年以上化学薬品を使用していない畑において、一切の農薬や化学肥料を使用せずに栽培される。
なお、オーガニックコットンには認証機関が設けられており、農地管理や栽培方法などを調査、認証が必要となる。
また、オーガニックコットンの基準には、労働者の安全や健康・児童労働に関する規約も含まれている。
そのため、環境だけではなく綿花栽培に携わる人々を守ることにもつながり、SDGs(持続可能な開発目標)の貢献につながる。

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