ファッション用語集-Tシャツの糸の種類-
ファッション用語集-Tシャツの糸の種類-
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番手
20番手、40番手などのように、数値で糸の太さの目安を表す。
一定の重さに対してどのくらいの長さがあるかを表した数値で、綿の番手は以下の計算式となる。
番手計算式
- 1番手=1ポンド840ヤードの長さ(453.6gで768.1mの長さ)
- 2番手=1ポンド1680ヤードの長さ(453.6gで1,536.2mの長さ)
- 10番手=1ポンド8,400ヤードの長さ(453.6gで7,681mの長さ)
- 100番手=1ポンド84,000ヤードの長さ(453.6gで76,810mの長さ)
結果、番手の数値が大きいほど糸は軽くて細くて長くなる。
番手の分類
一般的には太番手・中番手・細番手の3つに大きく分類され、数値が大きくなるほど細くなる。
太番手 | 20番手以下。肉厚でしっかりした質感、無骨さのある印象の生地に仕上がる。 |
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中番手 | 30~50番手。肌触りも質感もちょうど良く、Tシャツに多く使われる。 |
細番手 | 60番手以上。繊維が細く長いため、自然な光沢感と滑らかさがあり繊細な肌触り。 |
なお、100番手以上は極細番手とされ、非常に細く超高級とされる。
(20番手の糸と100番手の糸では、同じ重さでも5倍の長さがある)
糸の表記
糸番手は以下のように表記される。
30/- 、30/s 、30/1 | 30番手 単糸。文字通り30番手の1本の糸。 |
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30/2 | 30番手 双糸。30番手の2本の糸を撚り合わせた糸。単純に2倍の太さとなり、強度も2倍以上となる。 |
30//2 | 30番手 2本引き揃え。2本の糸を撚りをかけずに1本の糸のように扱う糸。 |
撚糸
糸は、繊維の方向を揃えて細くし、ねじりをかけることによって作られる。
このねじりのことを撚り(より)といい、撚りをかけた糸のことを撚糸(ねんし)と呼ぶ。
単体では細く脆い繊維でも、撚りをかけることで繊維が1つの束となり、糸としての強度を持つ。
撚糸の種類
糸の撚り方向によって「Z撚り」「S撚り」の2種類がある。
Z撚り(左撚り) | 左方向にひねることで右上方向にねじれた糸ができあがる。アルファベットの「Z」状。 単糸は基本的にすべてZ撚り(左撚り)となる。 |
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S撚り(右撚り) | 右方向にひねることで左上方向にねじれた糸ができあがる。アルファベットの「S」状。 2本の糸を撚り合わせた双糸は、単糸をS撚りで形成される。 |
強撚
撚りの強度を高めた糸は強撚糸(きょうねんし)といい、生地にシャリ感やコシがあり強度が増す。
そのため、強撚糸は主に夏物に使用されることが多い。
糸の種類
フィラメント糸
フィラメント糸は長繊維糸とも呼ばれ、長さのある繊維を撚り合わせることで作る糸のこと。
ポリエステルなどの合繊繊維、天然繊維ではシルクが原料となる。
繊維1つ1つが長く、毛羽が無く光沢感があり、強度が強いのが特徴。
その特徴から、衣類ではドレスやネクタイ、ストッキング、タイツなど、身近な糸では釣り糸がフィラメント糸である。
スパン糸
スパン糸は短繊維糸とも呼ばれ、短い繊維同士を平行に揃えて撚り合わせることで作る糸のこと。
綿花や羊毛は短い繊維のため、繊維1本だけでは糸として成立できない。
そのため、複数の繊維をまとめて撚りをかけることで繊維同士が絡み合い、糸としての形を保つことができる。
スパン糸の特徴は、繊維が短いため多少の毛羽立ち感がありやわらかな風合いがあること。
また、スパン糸の質感を作り出すために、ポリエステルなどの長繊維を切ってワタ状にしてスパン氏にすることもある。
糸の種類-紡績
糸の元となる綿花の繊維は長さが短いため、そのままでは糸として成立ができない。
綿花を一本の糸にするためにはさまざまな工程があり、紡績の方法によって数種類の糸へ分類される。
リング糸
糸の種類の中で最も一般的な糸で、リング精紡機で作られる。
ロープを作るのと同じ原理で、全体に均一の撚りをかけて糸にする製法。
なめらかな糸の表面となり、強度のある糸ができあがる。
このリング糸の表面の不良繊維を取り除く工程を経て、「カード糸」や「コーマ糸」に分類されていく。
日本ではリング糸が主流で、特に肌触りがしなやかなコーマ糸が好まれる傾向がある。
オープンエンド糸
オープンエンド精紡機で作られる糸で、空気紡績糸(空紡糸)ともいわれる。
綿菓子を作る容量と同じく、空気の流れで撚りを加えて糸にする製法。
繊維の間に空間があり適度な空気を含んだ糸ができあがる。
そのため、ふっくらとボリューム感がある反面、ガサついた固い風合いがあり無骨な印象となる。
アメリカではラフなオープンエンド糸が好まれやすい傾向がある。
VORTEX®糸
ボルテックス(VORTEX)糸は、村田機械株式会社が開発した精紡機「VORTEX®精紡機」によって作られる。
他の紡績方法とは異なり、空気の旋回流を使った独自の方法で糸をつむぐ。
短い繊維はエアによって吹き飛ばされ、それぞれが糸の中心に向かって撚りこまれ、他の繊維によって覆われていく。
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糸の中心は無撚で、糸の外側に向かって撚りが形成されていき、糸の中心は撚りが甘く、外側は完全な撚り構造になる。
そのため、糸の内層に繊維がしっかり保持された繊維の動きにくい構造となり、「もっとも毛羽の少ない紡績糸」となる。
毛羽の少なく、抗ピリング性や耐摩擦性に優れた特徴をもつ。
MVS糸とも呼ばれ、「ムラタ ボルテックス スピナー」の略。
糸の種類-綿糸
カード糸
綿糸の中で最もスタンダードな糸。
カード糸は、「カーディング」という工程を経て作られる糸のこと。
カーディングは、表面の余分な不要繊維を約5%程度取り除く工程。
光沢感やしなやかさが少なく、毛羽立ちが多め。硬めでラフな印象となる。
比較的コストを抑えることができるため、安価なTシャツが作ることができる。
コーマ糸
コーマ糸は、「コーミング」という工程を経て作られる高級綿糸のこと。
カーディングよりも削ぎ落とす繊維の量が多く、短く未熟な不良繊維を約20%取り除く。
短い繊維をさらに取り除くため、毛羽立ちが減り、細く均一で適度な光沢を放つ糸に仕上がる。
カード糸よりも製造工程が多く、品質・価格ともにランクが上の糸として位置づけられる。
コーマ糸でできたTシャツは、洗濯後も毛羽立ちにくく耐久性があり、生地の表面が美しい仕上がりとなる。
セミコーマ糸
カード糸とコーマ糸の中間に位置する綿糸。
代表的な製造方法は、カーディング工程を経てコーミングを行うことで約10%の不良繊維を取り除く。
コーマ糸よりもコストを抑え、カード糸よりもやわらかい風合いが特徴。
国際的な基準にセミコーマ糸という分類は無く、日本と中国の独自の分類とされる。